【本祭レポート】12/1 コンペティションD
トークショーレポートも残すところ
あと2つ。
今回は岡田がお届けします!
↓↓↓
12月1日(火)16:45~
コンペティションD
●登壇ゲスト
『ALICE』
監督 Satinder Singh Bedi(サティンダー・シン・ベディ)
『America』
主演 Marta Mazurek(マルタ・マズレカ)
『愛のかかと』
監督 円香(まどか)
『私には未来がある』
監督 大内りえこ
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4日目の1プログラム目はコンペティションDです。
トークショーでは、まず実行委員 岡田による作品講評を行いました。
『ALICE』
老婆の皺や睫毛、瞳など、モノクロ・フィルムで撮影したことでこそ映える映像が多くあり、心を揺さぶられました。商業映画とは違い、多くを語らず映像の持つ力で観客に訴えかける姿勢には拍手を送りたいです。
『America』
思春期の少女たちの、行き場のないどこか満たされない感情を巧みに描いていると感じました。女優のお二人の表情、動作の一つ一つの中に、大胆そうに振る舞いながらも、繊細で傷つきやすい少女の心情を見ることができ、すっかりお二人に魅了されました。
『愛のかかと』
目を引く鮮やかな色彩、平面的な絵に奥行きを与えているライティングから構成される世界観に、卓越した技術とオリジナリティを感じました。個性豊かで、でもそれぞれどこかに難を抱えている四人の女性にも強く惹きつけられました。
『私には未来がある』
確かな技術と豊かな想像力を感じられました。表現の幅の広さを15分間余すところなく見ることができ、初めて見たとき完全には掴みきれませんでしたが、心を奪われ、不安にさせられる演出は見事だと思いました。
次に、それぞれの監督へ質問を行いました。
・『ALICE』監督のSatinderさんへの質問
Q「どういった経緯で、この作品を製作されたのですか?
A「大学の先生から自然科学のことを教わり、それにとても感銘を受けたので製作しました。水を求めて穴を掘り続けるのは人生と同じで、最終的にはその穴が墓穴となります。ただ、この作品は決して、死をみつめているわけではありません。間欠泉が飛び出すように、自然の生に溢れた作品です。」
Q「『ALICE』という英題ですが、原題は『Kamakshi(カマクシ)』というインドの神様を意味するタイトルですが、なぜこのようなタイトルをつけられたのですか」
A「カマクシとは女神の名前で、与える神様です。その与えるというのが主人公の老婆と繋がっています。そして彼女が穴を掘り続けるのは、一種の捧げる行為なんです」
・『America』主演のMartaさんへの質問
Q「どういった経緯で、この作品に出演されたのですか?」
A「まず、監督と初めてお会いしたのは別の作品でのオーディションで、そこから監督と交流ができました。そこでの交流がもともとあったので、今作では監督が私にあて書きで脚本を書いてくれました」
Q「共に主演された女優さん、監督さんはどのような方たちでしたか?」
A「今作で私は10代の女の子を演じるので共演した彼女と監督との3人で10代の時のいろんな思い出話をして、役作りをしました。3月の撮影だったので、現場はとても寒かったけど笑いの絶えない現場でもありました」
・『愛のかかと』監督の円香さんへの質問
Q「どういった経緯で、この作品を製作されたのですか?」
A「女性の性、ジェンダーに以前から興味があり、映画では撮影される受け身の存在であった女性が、アニメーションにおいては自ら表現する立場になるという点が面白く感じ、それをテーマにしようと思いました。加えて、痛みの代償に快楽を得ようとするが、その快楽は実は受動的なものだというところにも興味を持ち、今回の作品を制作しました。」
・『私には未来がある』監督の大内りえこさんへの質問
Q「制作で最もこだわった点は何ですか?」
A「見ていて飽きない、予想もつかないような展開にしたいというのが最初に考えていたことでした。最もこだわった点は、はじめに存在するストーリーをいかにバラバラにしていくかということ、いろいろ思い悩んでいたことがどうでもよくなるような瞬間の体現でした。そのために、ちょっとわけがわからないけれど感情がすごく乗っているような作品を目指しました。」
Martaさんは非常に魅力的な方で、ポーランド本国でプロとして活躍されているというのにも納得しました。
Satinderさんは、作品に対して熱心に語っていられましたが、一転して陽気な面もあり、とても楽しい方でした。
円香さんは、自分の興味に対してひた走る、求道家のような魅力を感じました。
大内さんは、発する言葉の一つ一つを大事にしている姿勢から、自らの中で生まれた考えを大事にしているような印象を受けました。
次回もお楽しみに。
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