実行委員による審査講評

"白日の下には何ひとつ晒されない"

些細な出来事から不条理に巻き込まれていく人々を冷徹に見つめるカメラは、観客の見たいものを決して見せようとしない。我々は役者の顔すら判別できず、もはや「聴くもの」と化してしまったこの映画の異様な佇まいに恐怖すら覚えてしまう。静かにゆっくりと流れていくような作品ではあるが、その持続時間は計算しつくされており、綿密な画面設計や重層的なテーマとも相まって観客に壮大なカタルシスをもたらす。

監督について

QIU Yang

中国の常州市にて生まれ育つ。2013年、オーストラリアのVictorian College of the Artsの監督コースに入学。2015年『Under the Sun』が公式セレクション唯一のアジア短編作品として、カンヌ国際映画祭シネフォンダシヨン部門にノミネート。またクレルモン･フェラン国際短編映画祭をはじめ40以上の国際映画祭にも出品。現在、CineMart 2016に選出された処女短編を企画中である。

コメント

一見無関係に思われる事件の勃発を通して、社会的地位の異なる二つの中国人家庭の物語が語られます。また人間の表情の裏に隠された不完全さという永遠のテーマも追求しています。

影響を受けた監督や作品

小津安二郎

作品情報

2015年
Victorian College of the Arts, School of Film and Television
19min<実写部門>
キャスト：Zhu Ping、Sun Zhongwei、Bai Lihong、Gong Weiming
スタッフ：＜撮影＞Tarun Hansen　＜音響＞MEI Zhu、 Livia Ruzic、Peter Frost　＜編集・脚本＞QIU Yang　＜協力プロデューサー＞Tarun Hansen、Richard Helder　＜プロデューサー＞QIU Yang、Natalie Erika

中国

『Under the Sun』(原題:Ri Guang Zhi Xia) / 中国

『Pokey Pokey』/ 中国