『All of us/Watu Wote 』(ドイツ)

あらすじ

およそ10年にわたって、ケニアはアル・シャバーブの青年テロリストらの武力攻撃の的とされている。なかでもケニアとソマリアの国境付近は特に危険だと考えられ、ムスリムとクリスチャンの間の不安と不信は高まっている。そのなかで2015年12月、ムスリムのバス乗客らは連帯が存続し得ることを証明した。


実行委員による審査講評

”国境線上、衝突の中に見たもの”

本作にひしめくあからさまな敵意は、観る者の心に緊張感を持って肉迫する。震え、叫びと息づかいが観客を映画の世界へと招き入れるのである。我々は二項対立を好み、何かにつけて相手をつくる。どうしようもない悲しみや不安には、原因を見つけないとやりきれないこともあるからだ。だが、緻密に計算された構図には一筋の希望が見える。""All of us""は空虚に響くだけではない、そんなメッセージが聞こえてくるようだ。



監督について

Katja Benrath

幼いころから演劇に親しみ、若くしてプロとしてのキャリアを積む。演出家となってからは、ピナ・バウシュダンスカンパニーで活動。ウィーンで歌唱と演技について学び、そこで映画制作に出会う。初期の短編である『Babydoll』『No one pukes in Heaven』『Tilda』は数多くの国際映画祭において上映され、評価を受けている。Hamburg Media Schoolでの修士過程において『Where have you been』と『Secrecies』を撮影。卒業制作である『All of us』は初めての実話を基にした作品となる。


コメント

ケニアは豊かな多様性に満たされ、そこには民族集団や宗教生活へのリスペクトがあります。しかし今やテロリズムは彼らを動揺させ、北部は不安定になっています。この地域の人々は、命の脅かされる状況で互いにかばい合ってきました。親しい人を突然失うとどんな気持ちになるのか、私には想像することしかできません。


影響を受けた監督や作品

『ハッシュパピー 〜バスタブ島の少女〜』、『メイジーの瞳』



作品情報

実写部門

ドイツ/2017年/22min

Hamburg Media School

スタッフ:Adelyne Wairimu、Abdiwali Farrah、Barkhad Abdirahman、Charles Karumi、Faysal Ahmed