『沈没家族 / Sinking Family』(日本)
あらすじ
私の母はビラを撒いて、幼い私を育てるため家にいない間、代わりに保育してくれる人を募集した。集まった大人たちで始まった共同保育の取り組みは、「沈没家族」と名付けられた。そして15年が経ち、大人になった私は保育人たちに再び会いにいくことにした。
実行委員による審査講評
”つくられた家族、つくる家族”
この映画で投げかけられる生命の営みへのラディカルな問いは、家族とはそもそも必要なのか、ということまでも射程に含む。血縁や地縁、果ては義務感からも離れた対話の異様なまでの客観性が露わにするのは、常識や道徳を乗り越えたところにある人間観である。フィクションとノンフィクションの間を横断し、およそ20年の時をも飛び越えるこの怪作を取り上げるのは責務とすら感じる。
監督について
加納 土(Tsuchi Kano)
1994年5月3日生まれ。幼少期は、東京、東中野で母の始めた共同保育のもとたくさんの大人に育てられる。9歳の頃、八丈島に引っ越す。森達也のドキュメンタリーを観て、メディアに関心を持ち、武蔵大学社会学部メディア社会学科に入学。卒業制作「沈没家族」はところざわ学生映画祭、ぴあフィルムフェスティバルに入選。
コメント
カメラもまともに持ったことのない状態で撮り始めたこの作品ですが、これは僕の「家族」の記録であると同時に、全ての「おとなとこども」の物語になったと思っています。昔から観ることは大好きですが、ドキュメンタリーは「視点」だと僕は思ってます。「沈没家族」にも捉えきれなかった豊かな側面がたくさんあります。だからこそ映画を観た方に是非聞いてみたいです。あなたの眼に共同保育、そして映画「沈没家族」はどう映ったのかを。
影響を受けた監督や作品
森達也、原一男「ゆきゆきて神軍」、想田和弘「精神」ドゥ・ハイビン「青年チャオ」
作品情報
実写部門
日本/2017年/72min
武蔵大学(Musashi University)
スタッフ:加納 土、鯉沼愛実、永田浩三
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