『EDMOND』/ オランダ

あらすじ

エドモンドが他人を愛そうとする気持ちはおそらく強過ぎる。彼はひとり湖畔にたたずみ、それまでの人生を回想する。そして強烈な記憶を呼び起こし、自らの欲望の起源を探し求める。



実行委員による審査講評

"エドモンドよ、安らかに眠れ"

エドモンドは生きている。その豊かで繊細な表情や、滑らかというよりは生々しい動きを見ていると、やはりこのフェルト人形には命が宿っているとしか思えないのである。彼のカニバリズムは、他人と分かり合いたいという純粋な気持ちの表現なのだが、それを禁忌とする社会では拒絶されてしまう。そうした社会規範に縛られた人々のかわりに、エドモンドは超越的な存在として受難を果たし、観客の心の中に生き続けるのである。


監督について

Nina Gantz

オランダのアムステルダム生まれ、ロッテルダム育ち。ブレダのSt.Joost Art schoolを卒業後、イギリスのNational Film and Television Schoolでアニメーション制作について学ぶ。卒業制作の『EDMOND』が多数の賞を受賞。


コメント

人を愛し過ぎて、食べてしまいたい、ひとつになりたい。そう思ったことはありませんか?エドモンドというキャラクターはそういうアイデアの下に生まれたのです。フェルトの質感で過激さを和らげ、さらに表情を手描きにすることでキャラクターの感情を豊かに表現することができました。1枚1枚の写真に表情を合成する試みはかつてなく、2回も映画を作ったような気分です。3秒の映像を作るのに1日かかり、大枠を作るのに8か月かかり、完成まで1年かかりました。どうぞこの作品をお楽しみください。


影響を受けた監督や作品

ロイ・アンダーソン、アレックス・ファン・ヴァーメルダム、ミシェル・ゴンドリー、バスター・キートン、チャーリー・カウフマン、デヴィッド・リンチ、ウェス・アンダーソン


作品情報

2015年
National Film and Television School
9min<アニメーション部門>
スタッフ:<監督・脚本>Nina Gantz