『物語たちへ』/ 日本

あらすじ

3つの物語が聞こえ、1つの物語が見えて、つまり4つの異なる物語たちが同時に進んでゆく。



実行委員による審査講評

"3つの声と1つの絵が奏でる四重奏"

絵や言葉を前に、「物語」を紡ごうとする人間の根源的な欲求・行為を解体し、緻密で重層的な世界へと再構築してのける手腕には脱帽するほかない。この作品は、「物語」を前にした私たちが無意識に駆使する視覚と聴覚という2つの知覚を、身体からいったん引き剥がす。それどころか「物語ろう」とする欲望を解体し、ポップでダイナミックな新しいアニメーション、新しい「物語」の形を提示する。行為を解体し再構築する軽やかさ、暴力的なまでの大胆さこそが、現代のアニメーションには必要ではないだろうか。ぜひ映画館でこの感動を味わっていただきたい。


監督について

山中澪

1990年愛媛県生まれ。2013年神戸大学発達科学部人間表現学科卒業。2016年東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。『えんえん』(2015)が第21回学生CGコンテスト・アート部門優秀賞、イメージフォーラム・フェスティバル2016で優秀賞受賞。


コメント

4つの話が同時に進んで、意味が分からなくなるかも知れません。意味が分からないものの中で何かを発見したつもりになる瞬間だったり、意味が分からないけどそれが楽しい!となる瞬間がとても好きです。観客の皆様にも好きになってもらえたらうれしい。学部生時代に映画を観に行っていた映画館で、自分の作った好きなものを上映してもらえること、とてもしあわせに思います。


影響を受けた監督や作品

三浦基(地点)


作品情報

2016年
東京藝術大学大学院
6min<アニメーション部門>
キャスト:<声>越山布美佳、八木遼太郎、山中澪
スタッフ:<脚本・編集・デザイン・アニメーション>山中澪 <音楽>青柳呂武 <演奏>ピアノ・バイオリン:青柳呂武 サウンドデザイナー:向笠揚一郎