『The Noise of Licking』(原題:A nyalintás nesze) / ハンガリー

あらすじ

風変わりな植物を育てる女性と、彼女を毎日覗き見る隣人の猫。彼らの倒錯した関係は、猫が行方をくらませたことで終わりを迎える。だが翌春、ある奇妙な男が彼女のもとを訪れる。



実行委員による審査講評

”鐘が鳴らなければ、快楽の沼に溺れてしまう"

 矩形の窓から女性の生活を窃視する猫。毒々しい色の植物に自らを愛撫させる女性。エロスとタナトスの交錯する猟奇的で倒錯的な物語は、重々しいドローンノイズと相まって劇場に異空間を創造しさえするだろう。この肌にまとわりつくような不快さに生理的な嫌悪感を覚えたとすれば、それはあなたがこの作品の虜になってしまった証拠に他ならない。


監督について

Nadja Andrasev

ハンガリーのMoholy-Nagy University of Art and Designアニメーション学部を卒業。同校で制作した『The Noise of Licking』がカンヌ国際映画祭シネフォンダシヨン部門に出品され、3位入賞を果たす。2015年にも短編アニメーションを制作し、Animation Sans Frontièresに参加。現在、次作構想中。


コメント

私の映画は作家Ádám Bodorの短編に影響を受けており、家で植物に水をやる女性を隣人の猫が覗くという不条理な世界を描いています。作品と同じように奇怪な雰囲気を劇場に作り出せれば幸いです。


影響を受けた監督や作品

あまり好きな映画や監督というのはないのですが、友人や若手監督の映画には非常に影響を受けています。例えば、『Symphony No. 42』『Love』『The Eagleman Stag』『Oh Willy』『Wildfire』『Vésuves』などです。たいていは一つのイメージであったり、エドワード・ゴーリーやヘンリー・ダーガーの作品などから着想を得ています。


作品情報

2016年
Moholy-Nagy University of Art and Design
9min<アニメーション部門>
スタッフ:<脚本>Nadja Andrasev(Ádám Bodorの短編に基づく) <プロデューサー>József Fülöp <編集>Judit Czakó <音響>Péter Benjámin Lukács