『America』(原題:Ameryka) / ポーランド

あらすじ

ある時、アメリカで……。アンカとヅァスティナは、より良い日常を夢見ていた。無邪気な冒険だったはずのヒッチハイクは、二人の関係を決定的に変えてしまう。



実行委員による審査講評

"いつか、まだ見ぬアメリカへ"

思春期の少女たちの、友情とはまた違った特別な結びつき。二人の危うさと衝動が垣間見える瑞々しい日常の描写が絶妙である。年を重ねるにつれて、世界は二人だけのものではなくなってしまう。特に「男性」「性」に向けられる憧憬は、嫉妬とコンプレックスにまみれたマウンティングとなる。性を知らないことへの恐れや不安、不健全なほどの独占欲は、未踏の地「アメリカ」への憧れがもたらした逃避行により、二人の関係に亀裂を生んでしまう。行き場のない心の揺れとその爆発を吐き出しても、結局は家族の暮らす田舎町から抜け出せない。それでも、少女は次なる「アメリカ」を目指して、あてもなく歩き続ける。


監督について

Aleksandra Terpińska

University of Wroclawの心理学部を卒業し、現在カトヴィツェのUniversity of Silesiaラジオ・テレビ学部の監督コースに在籍。ショートフィルム、CM、ミュージックビデオを手がけ、『All Souls' Day』はサン・セバスティアン国際映画祭を含む100以上の映画祭で上映され、16の賞を受賞した。


コメント

私は自分にとって大事なものを表現するために映画を撮ります。皆さんにもそれが伝わればと思います。この映画は、目を背けたくなる世界に皆さんを連れて行くでしょう。その世界は想像以上に身近なものかもしれません。アメリカという舞台は単なるメタファーにすぎず、物語はいたって普遍的なものです。この映画で泣いて、笑って、楽しんでください。


影響を受けた監督や作品

マイク・リー、ヴォイテク・ スマルゾフスキ、ラリー・クラーク、ジェーン・カンピオン


作品情報

2015年
University of Silesia - Krzysztof Kieslowski Faculty of Radio and Television
30min<実写部門>
キャスト:Marta Mazurek、Aleksandra Adamska、Małgorzata Trofimiuk、Andrzej Konopka、Bartosz Gelner
スタッフ:<脚本>Aleksandra Terpińska <撮影>Bartosz Bieniek <編集>Przemysław Chruścielewski