『The guilt, probably』(原題:La culpa, probablemente) / ベネズエラ

あらすじ

停電が起きた真夜中の都市。ある母子家庭のもとを元夫のカンディードが訪れる。彼は幼い娘の父親としても満足のいく男ではなかった。たぶん、二人を暗闇から守ろうと戻ってきたのだろうが…。



実行委員による審査講評

"バロックな光と闇の物語"

技巧的な構図や空間設計、画面と物語の連動を可能にするのは、強烈な明暗のコントラストである。父性を欠いたベネズエラ社会の闇を、一縷の希望が光で照らし出すのだ。さらに二つの部屋を行き来する人物を一つのフレームにおさめ、その配置や動線によって人々の心情や関係性をそのまま表している。まるでカラヴァッジョの絵画のように生命の息吹が吹き込まれた作品と言えよう。


監督について

Michael Labarca

ベネズエラ生まれ。演劇と映画制作について学ぶ。『Slaves』(2010)がミュンヘン国際映画学校祭やSKENA UP国際学生映画演劇祭にノミネートされ、『Pigs』(2010)、『Eduardo Rey』(2013)、『Resistance』(2014)が国内の映画祭にていくつか賞を受賞。フィクションシリーズ『Barrio Sur』の監督・脚本も手掛ける。2016年、卒業制作『The guilt, probably』がカンヌ国際映画祭シネフォンダシヨン部門に3位入賞、キト国際映画祭で最優秀賞を受賞。


コメント

私はベネズエラ出身で、本作は私が監督した卒業制作です。小さい頃、父と父が愛した女性がある決心をしました。この映画はその二人のことを自分なりに理解しようと制作したものです。現在ベネズエラは停電が頻発する危機に直面しており、それを父性の欠如としてこの作品に表現しました。


影響を受けた監督や作品

ロベール・ブレッソン、ルクレシア・マルテル、アスガー・ファルハディ、ハイメ・ロサレス


作品情報

2016年
The School of Audio-Visual Media, University of Los Andes
14min<実写部門>
キャスト:Vanessa Morr、Abilio Torres
スタッフ:<脚本・編集>Michael Labarca <撮影監督>Freddy Matos <音響監督>David De Luca